私がオールドレンズを愛する理由

レンズ沼の住人・伊藤浩一です。所有するレンズも200本を超えて、まだまだ止まる気配がありません。どうして、そんなにレンズを持っているんですか?と聞かれる機会があり、改めて考えてみました。
私のカメラ歴は浅く、子供が生まれたのをきっかけに、デジタル一眼レフを使い始めました。最初に使ったカメラは、コニカミノルタのαSweet Digitalでした。中古のαSweet Digitalを使い始めたのですが、使い方がわからず、当時、アップルのモニター企画で知り合った仲間で「Start Mac Photo Club」というグループにてスナップ撮影をしながら、撮影方法を教えてもらっていました。
その後は、ソニーαシリーズでαマウントレンズを使う普通のデジタルカメラユーザーだったのですが、オールドレンズにシフトする大きな出来事がありました。2014年の正月に父の遺品でNIKON EMとレンズが出てきたことです。
 
当時使っていたソニーα7で、遺品のニコンのレンズが使い始めたのです。ニコンFマウントとソニーEマウントのマウントアダプターを入手しました。
恐る恐るα7につけて撮影してみました。その結果は、自分にとっては衝撃的でした。古いレンズで撮影できることと、現代のレンズにはない描写が得られる点でした。
 
古いレンズを使うことで、綺麗に撮影する、ということから、レンズのポテンシャルに合わせて表現しながら撮影する、という楽しさを感じるようになっていきました。新しいレンズを入手する度に、新しい描写に出会えたのです。レンズ沼が始まりました。
当時参考した書籍はこちらの2冊です。写真家澤村徹さんの「オールドレンズライフ」と大浦タケシさんの「ソニーα7/α7R WORLD」です。この2冊を参考に、レンズ探しの旅が始まりました。
オールドレンズ・ライフ Vol.3 (玄光社MOOK)

オールドレンズ・ライフ Vol.3 (玄光社MOOK)

 

 

ソニーα7/α7R WORLD―フルサイズ画質を堪能する (日本カメラMOOK)

ソニーα7/α7R WORLD―フルサイズ画質を堪能する (日本カメラMOOK)

 

国産メーカーのレンズをいろいろ試していく中、そのレンズの発売された当時の時代背景と、そのレンズが生まれた理由などを調べていくことも楽しさに拍車がかかりました。

また大きな転換がありました。ライカのレンズとの出会いです。実はお恥ずかしい話ではあるのですが、ライカを知りませんでした。カメラに縁のない生活を送っていたため、全く接点がなかったんですね。始めて使ったsummitar 5cm F2は、また衝撃的でした。今までのレンズにはない描写があったのです。このライカレンズとの出会いで、また、オールドレンズへのアプローチが変わっていきました。
その後、海外メーカーのレンズや、改造レンズ、戦前のレンズと、広く利用するようになり、合わせてフィルムカメラも使うようになりました。 ライカのレンズをフィルムで使ってみたくて、バルナックライカIIfを購入して使ってみました。ただ、シャッター幕にダメージのある個体だったため、メンテナンスなどで苦労をしました。その後、レンズに合わせて、フィルムカメラも探すようになってきました。
レンズをいろいろ使っていくうちに、オールドレンズを活用するユーザーとの交流が始まりました。また、それだけではなく、バイブル本として参照していた本の執筆者、澤村徹さんと大浦タケシさんともお話する機会を持てるようになりました。特に、大浦タケシさんには、「ダラダラ撮影会」という企画で、オールドレンズユーザーを集めたスナップ会を主催していただき、写真展まで企画してもらい感謝しております。

blog.itokoichi.com

そして、また大きな転換が訪れます。ロシアシネレンズとの出会いです。これは、写真家上野由日路さんが主催する写真展に行って、その写真展で作品を撮影しているレンズを試写したのがきっかけでした。そのときまでに、180本近いレンズを使ってきていましたが、今までにない描写に衝撃を受けました。この日から、ebayにて、ウクライナから出品されているロシアシネレンズ探しの旅が始まりました。
このロシアシネレンズで、オールドレンズ探しの旅も終焉かと思われたのですが、新たな課題が生まれました。ミラーレスではなく、ミラーのあるデジタル一眼でのオールドレンズの活用です。α7などミラーレス登場以前は、ミラーのあるデジタル一眼でオールドレンズを使っていたユーザーの方がいました。その過程をトレースすべく、2005年に発売されたキヤノンの初のフルサイズデジタル一眼レフEOS 5Dを入手して、当時のユーザーと同じように、オールドレンズの活用を開始しました。
EOSでオールドレンズの活用は、ミラー干渉の問題があり、非常に難易度が高いです。それでも光学ファインダーで軽快に撮影するオールドレンズの感触も楽しく、新たな世界が開けました。
オールドレンズの描写とレンズの持つ歴史を楽しむ中、また、新しい楽しみ方を教えてくれるワークショップに参加しました。写真家田中長徳さんの主宰する「チョートクブラぱち塾」です。田中長徳さんと言えば、まさにカメラの歴史と共に、あらゆるレンズを世界中で実践で使ってきた写真家で、オールドレンズファンにとっては、レジェンド的な存在です。その田中氏と、手持ちのオールドレンズを使いながら、東京の街をスナップする、という夢のようなワークショップに参加しています。東京の街を歩きながら、田中長徳氏が東京の歴史とその時に何を撮影したのか、を生で解説してくれる体験は非常に貴重です。当時田中氏が撮影した風景と同じ場所で、自分のオールドレンズで撮影する、というのは不思議な感覚です。
レンズの入手に関しては、ネットオークションも利用していますが、実店舗での入手が多くなっています。よく利用するお店は「ダイヤモンドカメラ」です。こちらのお店にて、レンズやカメラについて、いろいろ教えていただきながら、購入しています。

diamondcamera.net

そして、オールドレンズだけでなく、αシリーズの使いこなしを勉強できるショップがあります。お店主催の様々なイベントに参加して、αシリーズの使い方を勉強させてもらっています。

tecstaff.jp

 
オールドレンズを通じて、レンズ自体の楽しさだけでなく、そのレンズの時代背景や人に出会うことができる、タイムマシンのような存在です。まだまだ深いレンズ沼を楽しんでいきたいと思います。