30年前、ワープロから僕のモバイルの旅は始まった

こんな記事が出ていました。
「ワープロはいずれなくなるか?」という質問に30年前のメーカー各社はどう答えた?
https://dime.jp/genre/644604/
30年前、1983年の記事です。当時はワープロ全盛で、パソコンが普及してワープロがなくなることを、どのメーカーも予測していなかったようですね。
ワープロの衰退が予測できなかったメーカーの責任云々は置いておいて、この記事を読んで思い出したことがあります。
私にとって、ワープロこそがモバイルの始まりでした。1980年代に大学生だった私にとって、当時パーソナルコンピューターを個人で導入するのは現実的ではありませんでした。学生時代は、学内の大型計算機の端末にプログラムとデータ入力する程度で、あとは研究室で共用のパソコンを使う程度でした。
そんな学生時代の私は、研究成果をテキスト化したいと考え、ワープロを個人で購入しました。当時のワープロはプリンター内蔵の大きなものが主流で、その中でも小型の文豪ミニ5を使っていました。小型とは言え、ポリバケツのようなスタイルで、4kgくらいありました。


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フロッピーディスクに文書を保存して、自宅のワープロと研究室のパソコンのテキスト入力をしていましたが、学内でもワープロを使いたくなってしまい、スクーターの足元に載せて、学校までワープロを運んで、卒論を書いたりしていました。
ワープロは、テキスト入力だけでなく、初めてのパソコン通信にも利用しました。モデムモジュールをワープロに付けて、自宅のモジュラージャックを挿して、草の根BBSでメッセージのやりとりにも利用していました。速度は400bps程度でしょうか。画面に一行ずつテキストが流れるのが精一杯ののんびりした通信です。
その後、社会人となり、アドレスフリーを導入していた仕事場で、ワープロを小脇に抱えて仕事をしていました。さすがに文豪ミニ5ではなく、ノート型のパナソニックUシリーズ、富士通のオアシスポケットを愛用していました。オアシスポケットはプリンターを内蔵していなかったので、会社のモジュラーを引き抜いて、パソコン通信のNiftyserveのFAX送信サービスを悪用して、会社のFAXをプリンター代わりに使っていました。
そんなワープロモバイル人生も、HP200LXの登場で、一気にPDAの利用にシフトしていき、パソコンも導入したため、ワープロは使わくなってしまいました。ワープロとパソコンは共存する、というメーカー予測が見事に外れた瞬間でした。


ちなみに、この文章を、わずか200gでカバンのポケットに常駐しているGemini PDAで入力しています。


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考えてみれば、30年前に、スクーターで運んだ4kgのワープロで文字入力をしていたことと、実はそんなに変わっていない気がします。ツールや時代が変わっても、きっとやりたいことは一緒なんだろうなあ、なんてぼんやり考えてしまいました。
ワープロから、私のモバイル人生が始まったのは間違いないようです。