オールドレンズユーザー泣かせのNIKON 1の洗礼

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友人から譲ってもらったNIKON 1 J5を使い始めています。ミラーレスは、ソニーα7II、フジフィルムX-E1、パナソニックGX7、オリンパスE-P2、オリンパスAIR、ペンタックスQ10をオールドレンズにて活用していますが、各社個性があって、なかなか楽しいです。同じように、NIKON 1 J5もオールドレンズにて利用し始めたのですが、あまりに違う点があるため、日々苦労しています。NIKON 1シリーズはディスコンになってしまっていますが、NIKON 1 J5を今になって使うことで、NIKON 1のオールドレンズユーザー泣かせの機能を追体験しています。オールドレンズユーザーの立場から、NIKON 1の不幸に感じた部分を書いてみたいと思います。(まだ短期利用なので、間違っている部分があるかもしれませんが、ご了承ください)
 
ニコンは、ミラーレス一眼レフZシリーズが話題です。キヤノンのEOS Rと並んで、フルサイズミラーレス市場に本格参入することで、フルサイズ戦国時代に突入しています。ソニーαが一強だったフルサイズミラーレスに各社が参入することで、ミラー型デジタル一眼を愛用しているユーザーも一気にフルサイズミラーレスに移行することが期待できます。高性能なカメラやレンズが市場に投入されて盛り上がることでしょう。
 
この盛り上がるフルサイズミラーレス以前に、ニコンは小型ミラーレスカメラをリリースしていました。NIKON 1シリーズです。他社の小型ミラーレスカメラが、センサーサイズでマイクロフォーサーズやAPS-Cが盛り上がっている中、ニコンのNIKON 1が選択したのは、マイクロフォーサーズよりさらに小さな1インチセンサーに近いCXフォーマットでした。
 
マイクロフォーサーズのパナソニックとオリンパス、APS-Cのフジフィルムのミラーレスカメラが盛り上がっている中、ニコンが1インチセンサーに近いCXフォーマットを選択した理由はわかりませんが、この小型センサー搭載で、ユーザーの間で一つの期待が上がってきたようでした。
 
1インチというと、かつての映画フィルムで使われていた16mmフィルムに近いのです。つまり、16mmフィルム用のレンズが使えるのではないか、という期待です。16mmフィルム用シネレンズは、Cマウント、Arriflexなどのオールドレンズが多数あります。従来のAPS-Cやマイクロフォーサーズでは、センサーサイズが大きすぎて、写真の周辺がケラレてしまうレンズがあります。まさに、16mmフィルム用オールドレンズに、このNIKON 1は最適なのではないか、という期待が高まっていたようです。実際にNIKON 1発売直前のオールドレンズユーザーのブログはNIKON 1への期待が多数記述がありました。
 
この期待に見事答えたカメラとしては、Blackmagic Pocket Cinema Cameraがあります。16mmフィルムのサイズであるスーパー16mmと同サイズのセンサーを搭載することで、かつての16mmフィルム用のレンズの活用ができ、オールドレンズを活用した高度な動画作品が次々と発表されています。
 
一方、このような16mmフィルム用オールドレンズの活用を夢見たNIKON 1ユーザーは苦戦を強いられました。大きな2つの欠点がありました。一つは、純正レンズ以外を付けると、AEが効かないことです。他社のミラーレスは、レンズなしレリーズを許可することで、他社製のオールドレンズを付けても、AFは使えないまでもAEによる絞り優先撮影ができるのが便利です。ある意味、これがミラーレスの一つの魅力だったのです。しかし、NIKON 1は、レンズなしレリーズ機能を搭載しないため、オールドレンズを付けた場合は、マニュアルモードによるフルマニュアルで撮影しかできなかったのです。これは他社のミラーレスから、大きく劣る点になってしまいました。(実際に、NIKON 1 J5を使うと、一応、画面横に露出メーターは表示されるようになっていました。初期のNIKON 1にはなかった機能のようです。露出の具合は、画面上には反映されませんが、メーターで露出の目途はつきます。昔のフィルムカメラみたいです)
 
2点目は、センサーサイズです。折角1インチという16mmフィルムに近いセンサーサイズを選択したのですが、微妙に大きいCXフォーマットのため、写真の周辺がケラレてしまうCマウントレンズが出てきました。16mmフィルム用レンズで、16mmよりも広いイメージに対応しているレンズしか使えない事態となります。ユーザーの中には、センサーサイズを図解し、どこまで表示すれば、NIKON 1でケラレずに使えるかを、解説している方がいました。なかなか大変な事態になっていたようです。
 
実際に、NIKON 1で撮影してみると、フルサイズに比べて2.7倍の焦点距離になるCXフォーマットは、Cマウントなどのシネレンズではケラレにより、中途半端に感じることが多々ありました。かえってマイクロフォーサーズ(35mm版で2倍相当)のデジタルズーム(EXテレコン1.4倍)にて35mm版で2.8倍相当にしたり、フルサイズにてAPS-Cモード(1.5倍)とデジタルズーム(2倍)を組み合わせて、35mm相当で3倍相当にした方が16mmフィルム用レンズが使いやすく感じています。
 
このセンサーサイズの中途半端な感じを補完するために、NIKON 1にデジタルズームによるクロップ機能が搭載されていれば、まだ使えたのですが、デジタルズームはNIKON 1には搭載されませんでした。ソニー、パナソニック、オリンパスには搭載されており、レンズに合わせてデジタルズームが使えるのに、NIKON 1では使えません。
 
NIKON 1を使い始めてまだ2ヶ月ほどですが、NIKON 1が発売された2011年から2018年の発売中止までの7年間のオールドレンズユーザーのいろいろなエントリーを一気に読んで、オールドレンズユーザーの苦難の歴史を辿っています。ニコワンの洗礼を受けてしまいました。
 
まだ短期間のNIKON 1ユーザーのため、オールドレンズ活用で理解していない部分があるかもしれません。多分、NIKON 1が発売していた期間は、オールドレンズユーザーはNIKON 1に対し、いろいろな意見を言っていたと思われますが、このようなユーザーの声に答える前に、NIKON 1が発売中止になってしまったのは残念です。ただ、折角NIKON 1 J5に出会いましたので、オールドレンズで活用を何とかしたいと、日々研究していきたいと思っています。
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