はてなダイヤリーの更新サービスが終了に伴い、はてなダイヤリーと共に歩んだモバイルの思い出を語っています。第1回はこちら。
日本のPDA市場が縮小の中、はてなダイヤリーのPDAユーザーたちは、海外端末へ活路を見出しました。日本ではPDAが発売中止になる中、海外ではGSM携帯機能をPDAに取り込んだスマートフォンが生まれていました。日本では、1999年のiモード登場以降、携帯電話のネット端末化が進み、PDAに携帯機能を内蔵させるニーズは起きませんでした。
一方、海外では、当時のPDAのOS、Windows MobileやPalm OSに携帯電話機能を搭載したスマートフォンが登場したのです。日本では衰退してしまったPDAが、海外ではスマートフォンで復活しました。
その代表的な機種としてBENQ P50があります。BENQというとモニターメーカーのイメージですが、当時はデバイスもリリースしていました。その一つがBENQ P50です。ストレート型のミニキーボード内蔵でWindows Mobile搭載のGSM携帯電話です。モバイルデバイスとして絶妙なサイズ感に日本のPDAユーザーは熱い視線を送りました。しかし、言語として日本語は搭載していません。さらに、日本ではGSM携帯が使えません。日本語で動かない機種を輸入する業者もいません。
そこで、はてなダイヤリー界隈のPDAユーザーは、BENQ P50の共同購入に立ち上がります。2005年6月のことです。台湾に行く仲間を頼って、複数台を購入してもらうことにしました。購入しても日本語が使えるかどうかわかりません。それでも12名のユーザーが購入に踏み切りました。
BENQ P50を入手したときのブログがこちら。
https://itokoichi.hatenadiary.com/entry/20050629/p7
実機を入手したユーザーは「BENQ P50を検証するグループ」ということで「けんべん隊」というグループをはてな上に作り、情報交換を開始します。日本語を海外端末で使うことは難易度が高いものでしたが、当時、はてな界隈に集まったPDAユーザーには優秀なプログラマーの方が多く、日夜開発とベータテストが行われていました。PDAを日本で使いたい、ただそれだけのために、毎日、ユーザーたちは海外端末の日本語化に明け暮れていたのです。
苦戦をしながらもBENQ P50は実用できるレベルになっていきます。そして、一つの夢を見ます。BENQ P50をPDAではなく、スマートフォンとして使ってみたい。GSM携帯であるBENQ P50を携帯として日本で使うのは不可能です。そこで私はある行動にでます。それはまた次回。