YASHICA LYNX-1000 1960年製を入手しました。有楽町ダイヤモンドカメラで、伊藤さん、面白いカメラがありますよ、と言われてつい。何とZUNOWのレンズという噂。搭載されているレンズは、YASHINON 4.5cm F1.8ですが、レンズ指標が菱形だとZUNOWでそれ以外は富岡のようです。
ZUNOWの話である。ZUNOWはビンテージカメラ/レンズでは伝説的存在だ。戦後間もない1950年代前半、国産カメラがドイツの劣化コピーに過ぎなかった時代、唯一世界のトップランナーだったブランドだ。軍事光学技術と高度な職人生産からうまれた先鋭的ハイスピードレンズは一時期世界最高の性能を誇った。そのカメラとレンズはいまは超プレミアの世界最高価格となっている。
しかしその天才的設計と職人による手工業は、工業化による合理設計と生産に対応できない宿命がある。先鋭的設計は時代に追いつかれ、職人は近代的生産に効率で引き離される。プレミアを維持できなくなったZUNOWは下請け業をこなすようにもなり、やがて大手メーカーに吸収されることになる。
このYASHICA LYNX-1000はそのちょっと前、ZUNOWが吸収されるまえの大手メーカーの製品だ。そのレンズは伝説のZUNOW製という話である。二次情報なので都市伝説かも知れない。レンズにはYASHINONとあり、ZUNOWの形跡は全くない。そのためとても安く流通している。でも、ZUNOWの夢は、当時の日本の夢は感じることができるだろう。
ジャンクなので、写らなければ、レンズだけでも使いたいなあ、ということで購入。YASHICAのレンジファインダーはエレクトロ35とministar IIと3台目。フィルムカメラは39台目。
ASA400のフィルムで試写。低速シャッターは粘るので、1/60-1/500でテストは、良好でした。ただ、19枚目と20枚目でコマ被りが発生しました。
描写は、とてもよく写ります。開放F1.8で接写撮影した場合、最短の80cmでは後ピンになるようで、1m以上離れて撮った方が良さそうです。
また、使っていて便利なのが、絞りリングとシャッターリングがレンズに付いているのですが、プログラムシフトのように、連携して動きます。同じシーンで、絞りやシャッター速度を変更して撮りたい場合に便利です。
コマ被りと、近接で後ピンの作例。