大丸東京店で開催されたハービー・山口トークショーに行ってきました。「ライカ×ハービー・山口写真展 TIMELESS IN LUXENBOURG」の会場で行われました。
今回の写真展は、ハービー・山口さんが1999年にルクセンブルグから招かれて、写真を撮影してから約20年が経過し、再びルクセンブルグにて撮影した写真展です。国からの依頼ということで、ルクセンブルグの王家との交流や、日本に王家が来日した際の日本の皇族との交流など、いろいろなエピソードを披露してくれました。
その中で、写真術に関することも言及していました。ハービー・山口さんの暖かいポートレート写真の秘訣です。
50mmレンズで近づくこと。200mmでも撮れるが、50mmで相手に飛び込んでコミュケーションをとる。そして、相手を幸せにしたい、とファインダー越しに願う。ズームレンズであれば、50mmにテープで固定してしまい、撮影する訓練が良い。相手に近づくにはいろいろ障害があり、それでも50mmで相手に近づくことが写真への強み、写真の魅力になる。
例えば、福山雅治を撮影するとき、客席からステージ写真を撮るだけでなく、楽屋へ行き撮影し、さらに、素の顔をしている瞬間を撮影できるところまでコミュニケーションをとる。楽屋へ行く、素の顔を撮る、それぞれ大きな障害があるが、それを乗り越えることで魅力的な写真になる。
また、俳優のウィリアムハートの出演する映画の撮影中の写真を撮る仕事の際、ウィリアムハートから演技中に絶対に写真を撮らないでほしいと言われてしまい、撮影ができなかった。しかし、ハービー・山口がロンドン時代に劇団にて舞台で演技をした経験を話し、演じる側と撮る側の両方の気持ちがわかることを伝えると、撮影がOKに。映画監督からは、ウィリアムハートの演技中の撮影ができる唯一のカメラマンだと称賛された。
ストリートスナップの撮影は環境が厳しくなってきている。海外は比較的緩やかで、スナップ撮影時に、写真に写った方から作品を展示会や写真集に掲載する許可をとりやすい。逆にSNS掲載はNGという場合がある。日本は、ストリートスナップの環境は厳しい。これは、スナップ写真を撮られる魅力を、作品を通じて広めていく必要がある。
どのエピソードもハービーさんらしい話で、勉強になりました。私も50mmレンズが好きなので、頑張ってスナップしていきたいと思います。
余談ですが、トークショーの開演前に、ライカMDaとsummar 5cmを首から下げて並んでいました。すると、「いいカメラだねえ」と話しかけてくる方が。ライカのスタッフの方か、お客さんかと思ったところ、ハービーさんだったのでビックリ。トークショーの前なのに、会場の周りをウロウロしているんですね。カメラを褒めていただき、恐縮してしまいました。